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PM2.5(4)

2013年 03月01日 20:39 (金)

 降って湧いたPM2.5騒ぎ。人工放射性物質のように今まで生活圏内になかった(あっても事実上無視できる量)ものが急に押し寄せてきたならば心配も理解できる。でも、PM2.5は違う。報道のされ方は放射性物質に準じていて、あたかも今までなかった猛毒なものが中国から流れてきて、日本が危機に陥るように為されているから、多くの人が怖がるのは無理もない。なるほど、話題作りにはその方が都合が良いのだろう。

 では実際にはどうなのだろうか。

 PM2.5の研究は以前から地味ながら脈々と継続されていて、ある程度のデータは存在する。上のグラフは国が全国で調査した結果をまとめたものである(環境省HPから)。年平均値の最近10年のトレンドと思ってもらって良い。これを見ると年々PM2.5による汚染は改善していることが明らかである。

 グレーのラインは自動車交通の激しい場所でのデータで、約半減している。これは何を意味しているのだろうか?これは自動車、特にディーゼル車の規制が進んだ事による効果と考えられる。当時の石原知事が黒い粉の入ったペットボトルを振って見せた例の規制である。当時は賛否両論あったけど、結果的にはかなりの効果を上げている。ただし、これによる健康影響がどうなったかまでは不明である。

 こうして考えてみると、少なくとも関東地方に関しては中国の影響など些細なもので、地元を走る自動車がPM2.5の一大発生源であったことがわかるだろう。一方で、非都市部のようなもともと自動車の影響が少ない場所はほとんど横ばい状態である(青い線)。また、ごく最近では道路沿道と都市部のPM2.5が拮抗していて(赤い線とグレーの線)、自動車がPM2.5の主要因とは言いにくくなってきた。

 もちろん、中国からの影響もある。関東では多く見積もって3割に達する日があるかないかというところだろう。九州になると5割程度になる日もあるかもしれない。もちろん、それは一時的なもので、常時それだけの量が中国から来るわけではない。定量的な評価はこれからの研究課題となっている。

 TVでは中国からのススが蔵王まで到達している!!なんて大げさにやっていたけど、地球規模で大気が循環しているのだから、驚くに値しない。例えば、水銀などは地球規模で大気中を循環していると言われていて、近くに全く汚染源のない湖から水銀が検出され、これは大気からの沈着が原因という報告さえある。だから、水俣条約のような世界的なものが必要なのである。重要なのはその量であるのだけど、意図的にそこは報じない。

 ほんのこれだけのデータからでも、マスコミがいかに偏った報道をしているかがわかると思う。また、今のレベルのPM2.5を心配して、空気清浄機マスクを買い込んでも手遅れということも明らかである。今は良くても将来を心配する人もいるかも知れないが、中国の影響で日本の大気が大幅に悪化するようなら、当の中国では人がまともに住めなくなるだろうと思う。さすがの中国政府もそこまで放置はしないだろうから、将来についてもそれほど心配ないと私は考えている。

 もちろん、少しでもリスクを下げようという意図で、空気清浄機やマスク着用する人を否定しない。前にも書いたけど、一定以上の安全を求めるために自腹を切っているのだから。

 本来なら、国はこうした中国での大気汚染状況をいくつか想定し、それに応じた複数のシナリオを国民に示して不安を取り除くのが筋だろう。拙速に行動基準など定めても意味はないのに、こんな対応では馬鹿丸出しだ。

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